突然ですが、国民年金保険という言葉を聞いたことはありますでしょうか?
「言葉は聞いたことあるけど、内容まで知らない」だったり「全く聞いたことがない」
という方は少なくないと思います。
そんな国民年金保険について、噛み砕いて解説していきます。
国民年金保険とは何か
国民年金保険を一言で表すと、老後に年金を受け取るための保険です。
民間会社が販売している、つみたて保険と何が違うの?
国民年金保険は民間ではなく「国」が管理している保険なんだ。
保険と聞くと任意加入のように感じますが、国民年金保険は加入義務のある保険です。
ですので自分から手続きしなくても、国から納付通知書が届きます。
国民年金保険の対象者
加入義務があるのは分かったけど、子供は保険料払えなくない?
その通り。
具体的な対象年齢、対象者を解説していきます。
対象年齢
20~60歳
20歳になってから約2週間以内に通知が届きます。
国民年金保険料の納付通知書が届いたら、良くも悪くも大人の仲間入りをしたという実感が湧きそうだね。
対象者
個人事業主(自営業)、学生、無職の方、フリーターなど
基本的には「誰かに雇われていない」方が対象となります(一部例外はあります)。
極端な話、収入が無くても国民年金保険料を納める必要があります。
収入が無いまたは少ない場合、国民年金保険料を払えないのでは?
大丈夫。そのあたりは国が対策をしているよ。
納税が困難な時の救済制度
収入が一定以下で生活が苦しい、あるいは学生で収入がほとんどない場合は、国民年金保険の納税は困難です。
そこで国は「免除または猶予」という制度を設けています。
免除または猶予の対象となった場合、国民年金保険料を一部または全額納付しなくて済みます。
免除
免除には
- 法定免除
- 産前産後期間の免除
- 申請免除(配偶者の暴力を受けた方も含む)
が存在します。
法定免除
生活保護法の公的扶助、障害基礎年金、国立ハンセン病療養所などで療養している方が対象となります。
法定免除を受ける方は、国民年金保険料が全額免除になります。
ただし法定免除を受けたい場合、自分から申請しなくてはなりません。
あくまで「自己申請」なんだね。
産前産後期間の免除
出産予定日の前月から4か月間、国民年金保険料が免除されまれます。
また、また2人以上の赤ちゃんを同時に妊娠(多胎妊娠)した場合、出産予定日の3カ月前から6か月間、国民年金保険料が免除となります。

産前産後期間の免除を受けたい場合、法定免除と同様に自分から申請する必要があります。
申請免除(配偶者の暴力を受けた方も含む)
失業等などの経済的な理由で、保険料の納付が困難になった方(※)が対象です。
申請免除は所得ごとに免除される割合が決まります。
- 全額免除:(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円
- 4分の3免除:88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
- 4分の2免除:128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
- 4分の1免除:168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
免除に関してのお問い合わせは年金事務所で行っています。
該当しそうな場合は早めにご相談をお願いします。
猶予
猶予は主に学生が利用する制度となります。
具体的には「学生納付特例制度」という猶予制度の利用となります。
学生納付特例制度
大学院・大学・短期大学・専門高等学校・高等学校などに所属する学生を対象とした制度です。
学生納付特例制度を使う場合、その期間内は国民年金保険料を全額納めなくて済みます。
ただし学生納付特例制度には所得基準があります。
僕の意見ですが、所得128万円以上ある学生は少ないと考えています。
ですので、申請すれば基本的には学生納付特例制度は使えると思います。
国民年金保険料は右肩上がり

国民年金保険料は毎年見直しされ、金額が決定します。
過去の国民年金保険料をグラフにしましたが、納付金額は右肩上がりです。
「おい、保険料をあげるな!」という声も聞こえてきそうですが
少子高齢化やインフレなどによる影響で保険料が上がることは仕方がないと僕は考えています。
前納すれば、国民年金保険を節税できる
国民年金保険料は右肩上がりというお話をしました。
何も対策をしなければ保険料は増額されますが、前納と呼ばれる制度を利用することで節税が可能となります。

例えば通常の支払い(翌月末振替)を6か月間行った場合、16,590円×6=99,540円を支払う必要があります。
一方で6カ月前納をした場合、98,410円の支払いとなります。
つまり99,540円-98,410円=1,130円の節税となります。
ただし、上記の金額は口座振替の場合に限ります。口座振替以外の場合には割引額が低くなります。

口座振替よりは金額が高くなるもの、クレジットカード支払いをし「0.33%以上(※)」のポイントが付く場合、クレジットカード支払の方がお得となります。
ご自身のポイント還元率をご確認して、前納方法を決定して頂ければ嬉しいです。
年金の受給資格
国民年金保険料を10年間(免除または猶予の期間含む)支払った場合、老後に年金を受け取れる資格が得られます。
免除または猶予した期間はカウントされるものの、国民年金保険の未納していた期間は含まれません。
未納が続くと督促状が来て、財産を差し抑えられる可能性があります。
国民年金保険料は、必ず納付するようお願いします。
支払いが厳しい場合は放置をせず(未納のままにせず)、必ず免除や猶予の申請を出しましょう。
老後の受給金額
2021年の実績によると、65歳から受給できる金額は年額780,900円です。
ただし上記の金額は、国民年金保険を満額納めた場合に限ります。
言い変えると免除や猶予の期間がある場合、780,900円よりも減額されます。
例)20歳~22歳の2年間(24カ月間)、国民年金保険の猶予を受けていた学生の場合
780,900円×(480-24)×480=741,855円
が65歳から受給されます。
猶予を使ったら、年金を満額もらうは難しいの?
追納すれば、満額あるいは満額に近づけることが可能だよ。
免除や猶予を受けてた月から10年以内であれば、追納することは可能です。
ただし将来の年金を増やしたいからと考え、借金をして追納をする必要はありません。
まとまった預貯金がある場合には、追納の検討をしても良いでしょう。

まとめ
- 国民年金保険の支払いは義務
- 20~60歳の個人事業主(自営業)、学生、無職、フリーターの方が対象
- 支払いが厳しい場合、免除や猶予制度あり
- 保険料は毎年決定されるが、基本右肩上がり
- 前納すれば割引された金額で納税が可能
- 国民年金保険を満額納めた場合、年間で約78万円受給される(2021年実績)
大切なことなので繰り返しになりますが、国民年金保険料の支払いが厳しい場合、必ず免除や猶予をご活用ください。