失業したらどうしよう。
誰しもが不安になるよね。
雇われている方(主に会社員)なら、一度くらいは失業について想像するかと思います。
実は雇われ身の方が失業、離職しても大丈夫なように、求職者給付(雇用保険の一種)という制度が存在します。
求職者給付を一言であらわすと「失業(離職した)時に、一定額のお金がもらえる」という制度です。
ただし求職者給付は「働く意思はあるが職を失っている」場合に受け取ることができます。
今回は雇われている方のセーフティーネットである、求職者給付について解説していきます。
求職者給付の種類
求職者給付を細かく見ると
- 基本手当
- 技能習得手当
- 寄宿手当
- 傷病手当
- 高齢者求職者給付金
- 特例一時金
- 日雇労働求職者給付金
の7種類が存在します。
結構な種類があるのね。
まずは「基本手当」について知って欲しいかな!
求職者給付すべてを覚えることは難しいと思います。
ですので、まずは「基本手当」の部分だけはしっかり覚えて頂けたら嬉しいです。
基本手当
職を失ったとき、次の新しい仕事探しを安心して行って頂くための手当です。
いわゆる「失業した時の手当」だよ。
失業の状況・支給条件、受給金額、給付までの流れを順に解説していきます。
失業の状況・支給条件
失業は「自己都合」と「会社都合」に分かれます。
自己都合
自分で辞表を出し離職した場合です。自己都合には定年退職も含みます。
支給条件は、退職した2年間に雇用保険への加入期間(被保険者であった期間)が12ヶ月以上です。
自己都合の場合、年齢問わず被保険者だった期間を元に、支給日数が決定します。

会社都合
会社倒産や解雇など、自分以外の要因で失業した場合です。
支給条件は、離職前の1年間に雇用保険への加入期間(被保険者であった期間)が6ヶ月以上です。
会社都合の場合、年齢と被保険者だった期間によって支給日数が異なります。

受給金額
自己都合、会社都合問わず、基本手当の給付金額は
(離職前の6カ月間の1日あたりの賃金額)×80%~45%
が1日ごとに支給されます。
詳細な計算式は、以下の画像の通りです。

35歳で退職し、その方の直近6カ月間の1日当たりの賃金額が10,000円だった場合
10,000×0.8-0.3×{(10,000-4,970)÷7,270}×10,000=5,924円
が1日ごとに支給されます。
また、1日当たりの支給額には上限が設けれています。
例えば、30歳~44歳の方の1日の賃金が15,020円を超えたとしても、基本手当による支給額は7,510円になります。
給付までの流れ
基本手当を受ける場合、住居地にあるハローワークに離職届を提出し、求職の申し込みをします。
自己都合で退社した場合は7日間に加え、原則2カ月間は給付されません。
ただし過去5年間に2回以上の自己都合退社がある場合、7日間に加え3か月間は給付されません。
一方で会社都合の場合は、7日目以降に給付が開始されます。
会社都合の方が支給日が早いんだね!
基本手当を受給し続ける際には、4週間に1回進捗を共有します。
失業認定をされたら、引き続き基本手当がもらえる形となります。
また基本手当は老齢年金と同時に受け取ることはできません(詳細が知りたい方はこちら)。
あらかじめ、ご留意ください。
傷病手当
再就職の意思があったものの、求職の申し込み後、怪我や病気になった場合に支給される手当です。
求職者給付の中にも傷病手当があるんだね。
怪我や病気になってもお金はしっかり払われるよ。
傷病手当の受給条件は、求職の申し込み後15日以上続いて怪我や病気になった場合です。
傷病手当の金額は、基本手当と同額です。また傷病手当の給付期間のイメージ図は次の通りです。

余談ですが30日以上怪我や病気が続く場合、申出により傷病手当を引き続き受給する、または基本手当の延長(最大4年)の選択ができます。
自分が該当しそうな場合、ハローワークの担当者に相談して頂けると幸いです。
技能習得手当
公共職業訓練等の実施に伴う手当です。
公共職業訓練等の指示を受けた場合、基本手当にプラスしてお金が支給されます。
手当は1日500円で、上限は20,000円です。
また指示された場所に行く際、2km以上離れている場合は交通費も支給されます(交通費の上限は42,500円)。
寄宿手当
公共職業訓練等の実施に伴い、生計を維持している同居の親族(事実婚含む)と別居する場合に支給される手当です。
手当は、月に10,700円です。
ただし寄宿していない日や、基本手当が支給されていない日などがあった場合、減額されます。
高年齢求職者給付金
65歳以上の被保険者が失業した場合、お金が支給されるものです。
対象資格者の条件は
- 労働の意志はあるが、仕事がない状態
- 離職1年前の雇用保険への加入期間が、6カ月以上
です。
また支給金額は以下の通りです。
雇用保険への加入期間 | 給付額 |
1年以上 | 基本手当×50日分 |
1年未満 | 基本手当×30日分 |
なお高年齢求職者給付金の基本手当は、失業した6か月間前の賃金を元に算出されます。
特例一時金
短期的な雇用者(季節ごとに雇われ、就職と離職を繰り返す方)を対象に支払われるお金です。
特例一時金を受け取る条件は
- 労働の意志はあるが、仕事がない状態
- 離職1年前の雇用保険への加入期間が、6カ月以上(※)
です。
日雇労働求職者給付金
日雇労働者(30日以内の期間で日々雇われている方)を対象に支払われるお金です。
日雇労働求職者給付金は以下の通りです。
等級の種類 | 給付額 |
第1級 | 7,500円 |
第2級 | 6,200円 |
第3級 | 4,100円 |
また、通常の条件(普通給付の条件)を満たさない場合でも「特例給付」の条件を満たすことでお金が支払われる場合があります。
普通、特例給付の条件等は割愛します。
日雇労働求職者給付金の受給をする場合、事前に給付条件の調査をおすすめします。
まとめ
求職者給付の種類
- 基本手当
- 技能習得手当
- 寄宿手当
- 傷病手当
- 高齢者求職者給付金
- 特例一時金
- 日雇労働求職者給付金
どれも大切な内容ですが、個人的には「基本手当」の内容をまずは知っておけば大丈夫だと考えています。